じゃこ天

犬と過ごしたり、日常のたわいのないことを書いたり・・・

猫吸い

先日、とても奇妙な体験をしました。

今回はそのことについて書いていきたいと思います。

 

 

 

5月7日の火曜日、私は所属している学科の新入生歓迎会に参加したため(残念なことに友達はできませんでした)、普段よりもかなり遅い20時半ごろに帰宅することになりました。

 

下校路の暗く寂し気な住宅地はどことなく恐ろしくて、スマホでアダルトサイトを見ながら歩いていると、視界の端を黒い影が横切っていきました。

「きっとこの辺に住んでいる猫だろうな」

そう思った私は、何気なくその影が入っていった路地を覗き込みました。

 

 

 

そこには、思った通りの黒い野良猫と、何とも奇妙な「何か」がいました。

 

 

「何か」はまるで全裸のやせこけた人間のような見た目で、禿げた頭と血走った眼が異様に大きく、耳の位置がやけに頭頂部に近い位置でついていたのが印象的でした。

見た目だけではなく行動も奇妙そのもので、「何か」は節くれだった手で黒猫を抱き上げ、まるで匂いを嗅ぐかのように猫のお腹に顔を押し付けていたのです。

 

 

その異様さに、私は思わず「ヒッ…」と、小さな悲鳴を漏らしてしまいました。

 

 

するとその「何か」はグリンッ!と勢いよく頭を回してこちらを向き、一言。

 

「ふんふすふか」

 

この言葉を聞いた途端、私はとてつもない恐怖感を覚えその場から逃げ出してしまいました。

走って、走って、走って、走って…そこからのことはあまりはっきり覚えていません。

気づいたら家の前にいました。

家族の前では何事もなかったかのように振舞っていたものの、頭の隅にはあの恐ろしい「何か」がこびりついて離れず、その夜は満足に眠ることもできませんでした。

 

 

次の日、「何か」について気になった私は、友人に相談しました。

 

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記憶を頼りに描いた「何か」。

この絵を見た友人は心当たりがあったようで、

 

「もしかして猫吸いじゃない?」

 

と教えてくれました。

 

 

 

猫吸い[ネコスイ]とは、猫のお腹を吸いながら窒息死してしまった人の魂が妖怪化したもので、猫をはじめとした「お腹に毛が生えた生き物」のお腹を吸って生気を奪うのだそうです。

猫吸いによって生気を吸われた生き物は、まるでチベットスナギツネのような悟りを開いた表情になってしまうとか…

 

 

これを聞いた私はギョッとしました。

わたしはあの日、脱毛処理を怠っていてお腹に小汚いギャランドゥを生やしていたのです。

これは「お腹に毛が生えた生き物」に分類されてしまいますよね。

もしかしてあの時、黒猫の次には私のお腹を狙っていたのではないか。

逃げ出していなかったら私のお腹も吸われてしまっていたのではないか。

そう考えると震えが止まりません。

 

ふと窓の外を見るとあの時の黒猫がいました。

黒猫は生気を失ったうつろな目で、ただただ空を見つめていました。

 

 

 

それからというもの、私は腕や脛の脱毛は怠ってもお腹の脱毛は欠かさないようにしています。

私の小汚いギャランドゥが、猫吸いに狙われないように。